イノベーション戦略策定事業として、関係団体・機関とともに、革新的・先進的技術をもとにした具体的なイノベーション戦略づくりを実施しています。令和5年度は、以下の4テーマを実施します。
中小建設業における建設現場の「安全・安心の確保」に向けたデジタル化推進に関する戦略策定
委託先:(一財)ニューメディア開発協会
我が国の建設業界は、労働環境の厳しさ、人口減少などの影響により慢性的な人手不足の状態にあります。また、中小建設業の現場においては、作業員の事故やヒヤリハット事例が数多く報告されており、中小建設業のデジタル化を促進し現場の安全・安心レベルを高めつつ、生産性向上を図ることが急務となっています。
本事業においては、構造改革に取り組んでいる元請けの中小建設業を中心に、「安全・安心」をテーマとした技術イノベーションを伴う新たな技術領域(危険予知等)における実証を行うとともに、市場ニーズを捉えた社会実装に向けた戦略及び廉価なオペレーションシステムの社会導入・事業化に向けた戦略を策定します。
レーザー加工用光位相制御システムの市場開拓に関する戦略策定
委託先:(一財)光産業技術振興協会
精密レーザー加工で用いられる空間光位相変調器(SLM: Spatial Light Modulator)を電池封止の溶接、3Dプリンタの積層造形などのレーザー加工市場へ適用拡大することを目的とします。
現状では200W 程度までのレーザー光耐性を有する位相制御技術しかなく、上記市場への適用はできていません。生産性向上のため、高出力のレーザー光耐性のあるSLM が求められています。
レーザー光耐性向上のために使用される液晶材料の耐熱性や熱的安定性を高めることに加え、SLM から出力されるレーザー光の位相制御と検出技術の高精度化とともに、非対称レーザー光強度分布を実現するため仕様の精査、市場戦略の策定を行います。
メタバースを活用した就業・社会参加支援プラットフォームに関する戦略策定
委託先:(一社)ソフトウェア協会
現在61.3万人(平成30年度内閣府調査)と推計されている引きこもり人口を対象に、メタバース、AI等を活用して就業・社会参加ができるよう支援するクラウドシステムの要件を明確にします。
具体的には、メタバースを活用した就業・社会参加支援プラットフォームにより、引きこもりユーザやシステムを利用する関係者双方にどのような効果があるかなどを検討するとともに、本システムの運用におけるセキュリティ、個人情報保護などの課題についても検討を行います。
その上で、システムの開発、実証実験の実施、実際の運用など導入・普及に向けた戦略策定を行います。
縫製工程の自動化に向けたCADデータ活用に関する戦略策定
委託先:(一財)日本縫製機械工業会
本事業は、国内縫製工場の特に自動化が遅れている縫製工程のうち、デジタルミシンがCADデータを共通に取り込める「共通フォーマット」を策定し、熟練オペレーターの技能代替の実現を目指します。
具体的には、共通フォーマット策定のため、熟練オペレーターによる縫製作業が必要な婦人服の「イセ込み縫製」を対象に実証・検証を行います。
これにより、「共通フォーマット」を活かした生産方式の導入効果を検証し、その利便性や効果をアパレル企業、縫製工場に啓蒙することで、将来において業界標準につなげていくための戦略策定を行います。