令和5年度 生成AI の機械システム設計開発への活用フォーラム

1. 趣旨

 生成AI は、自己学習によってデータを解析し、新しい情報を生成することができます。そのため、機械システムの設計や開発において、AI がデザインやシミュレーションを担当することで、人的ミスや労力の削減が期待できます。生成AI に関しては、政府においても、本年5 月11 日、「第1 回AI 戦略会議」が開催され、人工知能(AI)の利用に向けた方策に関して、関係省庁によるAI戦略チームでの議論がスタートしました。
 また、現場導入後の運用においても、AI が自己学習を継続することで、常に最適な状態を維持できる可能性があります。このような運用方法によって、システムの効率化や生産性の向上、品質の向上などが期待されます。そのため、生成AI の機械システム設計開発への活用可能性を検証することは、産業界や社会において、大きな意義があると考えられます。
 本フォーラムでは、機械システム、生成AI、ユーザ企業の有識者から構成する委員会(フォーラム)を設置し、主に以下の観点から生成AI の機械システムの設計、開発、運用における活用可能性を議論します。

【1】 ChatGPT 等の生成AI について機械システムの設計、開発、現場での運用のそれぞれのプロセスにおける使用結果に基づく活用可能性、効果の検討と課題抽出。
【2】 機械システムの設計、開発、現場での運用のそれぞれのプロセスにおける生成AI の使用に関するリスクマネジメントの考え方、R-map 等による系統的なリスク評価のあり方の検討。

2. 第1回 開催概要

2023年8月3日(木)10:00-12:00(場所:日本自動車会館くるまプラザ会議室 [東京都港区芝大門])
第1回フォーラムでは、今井 翔太 様(東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 松尾研究室)による「生成AI時代のプロンプトエンジニアリング入門」をテーマとする講演を行い、生成AIの活用に向けての課題と論点に関する討議を行いました。

「生成AI時代のプロンプトエンジニアリング入門」講演サマリーをこちらに掲載いたします

3. 課題と論点

① 機械システムの設計、開発、現場導入後の運用のそれぞれの業務において、生成AIはどのように活用できるのか。
② 活用の効果を最大化するためには、どのような技術、方法があるか(例えば、プロンプトエンジニアリングなど)。
③ 機械システムの設計、開発、現場導入後の運用において生成AIを用いることによる短期的、長期的な利点、問題点は何か(注1)。それらについて、感覚的議論でなく、広い意味での費用対効果の分析、R-Mapによるリスク評価などにより系統的に検討する。
(注1)例えば、業務情報を入力することによるセキュリティや、出力の誤りなどの問題がある。また、設計、開発、運用のそれぞれの現場で活躍が期待される人材育成の観点からは、新しい技術を積極的に利用する挑戦的な人材の育成が考えられる反面、手間を省くことによる文章作成能力向上の機会喪失、現場の知識継承の劣化などが考えられる。

4. フォーラム委員

氏名所属役職
【委員長】
村上 存
東京大学 機械工学専攻教授
【アドバイザ】
松尾 豊
東京大学 技術経営戦略学専攻専攻長、教授
野口 和彦横浜国立大学 リスク共生社会創造センター客員教授
前川 徹東京通信大学 情報マネジメント学部教授
江上 周作産業技術総合研究所 人工知能研究センター 
データ知識融合研究チーム
研究員
神野 すみれ旭化成(株) 生産技術本部 生産技術センター
産機システム技術部
主幹技師
九十九 弘旭化成(株)ライフイノベーション事業本部
デジタルイノベーション推進部 スマートファクトリー推進室
室長
福永 究(株)クボタ 研究開発本部 研究開発統括部部長
平岡 洋二(株)クレオ 技術本部技師長
伊藤 寿勝(株)PFU 次世代事業開発室技術開発部長
谷 立(株)リコー RDP 経営戦略本部経営統括センター
DX推進室 ソシューション開発グループ
グループリーダー
相澤 徹一般財団法人 機械システム振興協会専務理事
浅井 一樹【専門委員】東京大学 村上研究室修士課程
【第1回講師】
今井 翔太東京大学 松尾研究室博士課程

【第1回 開催状況】