1. 経緯
機械システム振興協会では、平成30,令和元年度 イノベーション戦略策定事業として、産業用大型X線CT装置の導入に関する戦略策定を行いました。
イノベーション戦略策定事業の対象テーマ名(実施年度)
– 産業用大型X線CT装置の導入に関する戦略策定(平成30年度)
委託先:(一社)研究産業・産業技術振興協会
– 産業用X線CTを活用したデジタルエンジニアリングに関する戦略策定(令和元年度)
委託先:(一財)総合研究奨励会
当協会の委託事業での議論を踏まえ、戦略策定委員会メンバーも参加して、令和3年9月に、サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合が設立されました。同組合では、経産省の委託事業を受託するとともに、超大型X線CT装置拠点化の検討を行っています。
サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合では、今年度、福島国際研究教育機構(F-REI)の令和5年度事業「超大型 X 線 CT 装置等を活用した産業のデジタル化技術の開発等に関する調査研究事業」を実施しており、この度、本事業の一環として、ドイツから技術者を招聘し、本ワークショップを開催することになりました。
当協会は、本ワークショップの後援団体として、以下、開催概要をご案内いたします。
2. ドイツにおける大型 X 線 CT の開発・利用動向と日本の取組
産業用 X 線 CT は、近年、非破壊検査だけでなく、形状計測にも利用が広がっており、X 線 CT により取得したデータを製品開発で活用する技術が注目されています。
本ワークショップでは、世界最大の超大型 X 線 CT をもつドイツ・フラウンホーファ研究財団 EZRT 研究センターと、高機能な X 線 CT を開発しているドイツ diondo 社の技術者に、技術やユーザーニーズの最新動向について講演をお願いしています。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
3. ワークショップの開催概要
開催日時:2024年2月28日(水) 13:30~16:00
開催形式:会場とオンラインのハイブリッド形式(オンラインはZoomによる配信)
■会場参加の方:東京大学工学部 11 号館 講堂 HASEKO-KUMA HALL
〒113-8656
文京区本郷7-3-1 東京大学工学部11号館1-2階
(アクセス)https://haseko-kuma.t.u-tokyo.ac.jp/access
■オンライン参加の方:Zoom による配信
オンライン参加の方には、後日、Zoom の URL をメールでお送りします。
■参加費:無料
■言語:海外からの講演者は英語で発表します。
■参加ご希望の方は、下記から参加登録をお願いします。2月22日締切
(※サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合のサイトに移行します。)
https://forms.office.com/r/06NbuB5J87
■主催:サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合
■後援:一般財団法人 機械システム振興協会
4. ワークショップのプログラム
司会:齋藤直昭 (サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合・専務理事)
13:30~13:40 開会
澤飯明広 (サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合・理事長)
13:40~14:40 <プログラム1>
Future of XXL-CT: Establishing new industrial fields of application
for computed tomography (英語)
Michael Salamon and Nils Reims (Fraunhofer EZRT, Germany)
【講演要旨】
The Fraunhofer Development Centre for X-ray Technology (EZRT) is a leading institution for the development of innovative testing methods for industrial use based on X-rays, optics and magnetic resonance. After brief introduction of the EZRT, we will focus on the globally unique XXL-CT system and the technology behind it. Since its commissioning in 2013, it has solved numerous tasks that could not previously be solved with other CT systems. The imaging properties play a special role. Due to the three factors penetration capability, material tolerance and density fidelity, the use of this technology is highly beneficial and opens up new fields of application for CT technology e.g. the documentation and recording of realistic digital twins. The progress of this system development will be showcased through the XL-Gantry-CT currently under construction at the Technical University of Kaiserslautern. The construction of a rotating X-ray system opens up the possibility for CT scanning of large objects that have to be scanned in a lying position. The challenges and technical solutions will be presented and discussed in the lecture.
We also address the process of value creation for the raw data generated by XXL-CT systems. Given the current high measurement costs, this factor becomes crucial for the widespread adoption of this technology in the CT and data digitization market. The large amount of data from such a scan contains important information for numerous departments of car manufacturers or other user groups. Until now, accessing this information was limited to a very small group of specialized people with special hardware. To eliminate this bottleneck, the EZRT is developing methods to make the data easily usable on any desktop PC. A core of this development is the Sparsely Coded Residuals (*.scr) data format, which achieves enormous compression rates for the huge amount of data. Only this combination of the most advanced X-ray technology and a high degree of data democratization makes everyday use in industry meaningful beyond sporadic forensic use.
【講師紹介】
Michael Salamon 氏
独Fürthのフラウンホーファー集積回路研究所のフラウンホーファーX 線技術開発センターに所属し、高エネルギー X 線システム グループを率いる。
ミュンスター応用科学大学で生体医工学を専攻 (Dipl.-Ing.(Fh))。 フラウンホーファー集積回路研究所 IIS の開発センター X 線技術部門で卒業論文を書いて研究を終えました。 主な研究分野は、材料特性評価のための高解像度コンピュータ断層撮影の開発とカスタマー固有の X 線ソリューションの開発。 2010 年には、グループの活動の一環として高解像度 CT から高エネルギー CT まで範囲を拡大。2018 年、XXL-CTテクノロジーの開発に対してフラウンホーファー賞を受賞。
加えて、PVT反応器内での SiC 結晶の結晶成長を観察するための新しい X 線技術の開発にも取り組む。
Nils Reims 氏
独Fürthのフラウンホーファー集積回路研究所のフラウンホーファーX 線技術開発センター 高エネルギー X 線システム グループに所属。
2011年、ニュルンベルク応用科学大学で電気機械システムの工学修士号を取得。数年間、コンプトン分光分析とモンテカルロ X 線シミュレーション分野の研究を行った後、2011 年より、XXL-CTシステムの開発を含む高エネルギーX線CTを主要研究分野とする。
現在、XXL-CT システムの継続的な運用・強化、新たな高エネルギーX線システムの開発に注力。2024 年に運用を開始するカイザースラウテルン大学のガントリー型 XXL-CT システムのプロジェクト リーダーを務めている。
14:40~14:50 休憩
14:50~15:30 <プログラム2>
30 Years of Innovation in MeV and customized CT(英語)
Dr. Nick Briereley, Head of R&D (diondo, Germany)
【講演要旨】
diondo recently celebrated its 10-year anniversary, but this builds on the core team’s preceding 20 years’ experience in industrial X-ray computed tomography – in fact starting with a pioneering, XL MeV machine. Over the decades the team has developed numerous innovative and highly customised machines, notably including two XL systems delivered to Tokyo Museum. In recent years, diondo has reinforced its reputation for highly flexible, upgradable machines, for all length scales – with a selection of standard machine platforms and a modular software, that serve as the basis for the majority of system builds. This talk will provide an overview of the experience of the company and insights into the future of industrial X-ray computed tomography.
【講師紹介】
Dr. Nick Briereley 氏
独Hattingenに本拠を置くX 線コンピュータ断層撮影システムの大手メーカーdiondoの研究開発チームを率いる。
現在、企業の技術戦略の舵取りをしながら、連携や外部資金による幅広い研究開発プロジェクトを管理。diondo 入社以前の6年半は、英国コベントリーの製造技術センター (MTC:国立積層造形センターを運営) で主幹研究エンジニアとして、金属積層造形などにおけるX線イメージング活動に従事。
英国インペリアル・カレッジ・ロンドンで NDT の博士号を取得、ケンブリッジ大学で自然科学 (物理学) とマネジメント研究の修士号を取得。
15:30~15:50 <プログラム3>
産業用 X 線 CT データを活用するサイバー・フィジカル・エンジニアリング
高山光弘 氏 (サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合・常務理事)
【講演要旨】
フラウンホーファーEZRTの超大型XCT技術が利用可能になったことで、その利活用についての検討が重要となっている。デジタルエンジニアリングへの展開としてCPE(サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合)がこれまで取り組んできた内容とその課題について紹介する。
【講師紹介】
1991年本田技研工業入社、本田技術研究所にて車両開発および技術開発に従事。
2018年から本田技研工業にて生産部門のデジタル化に取り組む。
2021年8月に本田技研工業を退社、同年、9月サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合発足にあたり、常務理事兼CTOに就任。
15:50~16:00 閉会
鈴木宏正 (サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合・参事)
■お問合せ先:
サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合 (担当)鈴木宏正
(アクセス)https://cpe.or.jp/pages/5/
(※サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合のサイトに移行します。)